ひねもすのたり

読書レビューです。あくまで一個人の感想として読んでいただけたら幸いです。

鹿の王/上橋菜穂子

「鹿の王」は発売当初からずっと気になっていて、やっと読めました!

文庫本版全4巻を読みましたが、とても素晴らしかったです。

 

昔、NHKでやっていた「獣の奏者エリン」のアニメが、上橋菜穂子さんの作品のファーストタッチでした。

結構飛び飛びに見ていたのでイマイチ入り込めず、その後原作を全て読みました。

 

上橋菜穂子さんの好きなところは、彼女の書くファンタジーが自分の考えた世界であることです。現代社会にファンタジーを織り込んだ作品もつまらなくはないのですが、やはり作家さん自らが作られた世界というのは、その作家さんの技術がモロに出ると思うし、その分、面白いととことん面白くなると思います。

ホームページを作る時、URLから取得すると面倒な分自由度が高いですが、既存のホームページを作るサイトなどを利用すると楽だけど自由度が低い、みたいな感じです。

 

簡単に言うと、岩塩鉱にある夜襲ってきた犬の集団に噛まれた奴隷やそこで働いていた人々の中で唯一生き残ったヴァンと彼が逃げる際に拾った幼子をユナ、そして犬の集団が撒き散らしていると考えられる病の治療法を探る若き天才医師ホッサルの話です。

精霊の守り人よろしく、戦闘シーンなどもあるのですが、すごく胸がドキドキします。

最後は二転三転して展開が読めず、一気に読んでしまいました。

 

この本の良さを、私は言葉に出来ないのですが、とにかく面白かったです。あと、ユナがめちゃくちゃ可愛いです。

 

生きるとはどういうことなのか、病にかかる者とかからない者、罹っても助かる者と助からない者、その違いはなんなのか、病とは私達の身体とは一体なんなのか。

「神の意志のような、分かりやすいものなら良かった」と作中でヴァンは言います。それは、複雑怪奇で到底私達に解明出来るものではなく、けれど確かに言えることは、そこに神の意志は介在していないということ。

 

ファンタジーでありながら、その世界に住むすべてが生き生きと実在していて、本当にその世界が回っているような、そんな上橋菜穂子さんの作品です。

支離滅裂な文になってすみません。読みやすくて私は4日程で読めましたし、とにかく読むことをお勧めします。

ストーリー・セラー/有川浩

有川浩さん(以下敬称略)との初めての出逢いは、図書館戦争でした。

そもそも私の小説デビューは母の影響を強く受けたもので、当時の私は母の好きな作家である宮部みゆき畠中恵の作品(しかも時代物)をメインに読んでいました。

そんな中で、兄が買ってきて、一巻のみで放置していた「図書館戦争」を手に取り、その面白さに感動し、瞬く間に全巻揃えました。ついでにその中で登場する「レインツリーの国」も読みました。

しかし私の「有川熱」はそこで中途半端に途切れてしまいました。丁度、「植物図鑑」を読んでいる最中でした。どうしてだったかは今はもう思い出せないのですが、恐らくそのくらいの時期に私は、小野不由美十二国記シリーズや、綾辻行人の「Another」に出逢ったから、だったような気がします。あそこの夫婦は私の心をいつも鷲掴みますが、話が逸れてきたのでその話はまたいつか。

 

トーリー・セラー自体は、中学の時に有川ファンの友人の勧めで知っていて、ずっと気になってはいたのですが、なかなか手に取る機会に恵まれず、やっと図書館で借りるというカタチで実現しました。

 

有川浩は、その話のテンポの良さが特徴だと思います。堅苦しい文章も嫌いでは無いし、寧ろ好きですが、有川浩のコミカルさや親しみ易さもまた、なかなか魅力的だと思います。

 

トーリー・セラーは2編構成で、作家である妻を喪う夫の話(side.A)と、夫を喪う作家である妻の話(side.B、単行本書き下ろし)が収録されています。

どちらの夫婦もお互いを尊重して愛し合っていて、妻ないし夫の難病、そして死と向き合う姿が綺麗に描かれています。

 

side.Aでは、どちらかというと、病を発症するまでの過程をメインに、side.Bでは、病を発症してからの姿をメインに書かれているように思います。

二つの夫婦に共通しているのは、作家である妻の作品を夫は世界一愛していて、妻は夫に読まれることを最高の喜びとしているところ、だと思います。

有川浩の恋愛の描写は、甘々で、実は私はそれほど得意じゃないのですが(ミステリや冒険物、時代物ばかり読んでいるので...笑)、この作品の愛の在り方と描写は、「なんかいいなあ…、羨ましいなあ...」と素直に思えました。

作家にとって、作品とは一番脆い部分を曝け出したものだ、と作中で語られている(大体の意味として思ってください…)ように、それは作家さんにとって、きっと、恥ずかしくて恐ろしくて、けれどもやみつきになる程快感の伴うことなんだろうな、と、想像でしかないのですが、そんなことを思いました。そしてそれを全肯定してくれる夫に対して、どれほど深い愛情が生まれるのだろう、と。

 

物語を愛する人はきっと世界に山ほどいます。けれど、物語に愛される人は、きっと一握りしかいない。物語を愛する人は物語に愛されたいと願って、けれど殆どの人はその淡い恋情を打ち砕かれて、結局は自分の欲求を満たしてくれる作品を読み尽くすしかないのです。

 

今回は、そんな、私の読書観を揺さぶった作品の紹介でした。

そして、かく言う私も、物語に愛されたいと願う一人なのです。

十角館の殺人/綾辻行人

はじめまして。ブログ初投稿の初心者です。

初めてのレビューは、私の敬愛してやまないミステリ作家、綾辻行人さんのデビュー作、十角館の殺人でいこうと思います。

 

出来るだけ気をつけてはいますが、初心者故、ネタバレや分かりにくい文章もあると思われますが、温かい目で見ていただけたら幸いです。

 

元々、私はミステリ好きだったのですが、この本に出会った時は衝撃が走りました。

密室、殺人、探偵......本格ミステリに必要な三要素を全て満たしておきながら、舞台は現代なのです!

密室、殺人くらいまでは、ミステリの定番ですし、書かれている作家さんも多いのですが、「探偵」役を現代社会で作り出すのはなかなかに難しい事だと思います。故に、警察が舞台になったり、無理矢理探偵を作ろうとしてライトノベルチックになったり....(あくまで私の読んだり聞いたりした範囲の個人的見解です)。

だからこそ、繰り返すようですが、密室、殺人、探偵を上手く現代に織り込んだこの作品は、ミステリ好きの私の理想とも言えたわけです。

 

本作は、十角形の奇妙な館が建つ孤島、角島を大学ミステリ研の7人が訪れるところから始まります。四方を断崖絶壁に囲まれたこの島は、小型漁船がやっと横づけできる程度で、二十年ほど前、青屋敷なるものを建てて移り住んだ人物がいたが、現在は再び無人島になっています。島には電話も通っていません。つまり、「密室」というわけです。

7人はこの島に一週間の滞在予定で、その目的は、青屋敷を建て、この地に住んでいた建築家の中村青司が半年前に炎上した青屋敷で焼死したという事件の、有り体に言ってしまえば現場見物でした。

そして三日目、遂に事件は起こるのです。

この作品は、島(ミステリ研の7人)と本土(元ミステリ研の江南と守須、青司の弟の友人島田)が同時進行で語られていて、つまり島で明かされていく謎と本土で明かされていく謎を読者は同時に読めるわけです。

 

予想を裏切り続ける展開にどんどん熱中すること間違いなしです。これでも私はミステリをそこそこ読んできて、ある程度の予想を立てながら読み進めて行くタイプなのですが、もう、びっくりするほど予想を良い意味で裏切られます。無理のない、しかし斬新な仕掛けには驚かされました。

まだまだファン歴の浅い私が言うのも何ですが、綾辻先生はじわじわと謎解きをし、最後にトントン解説していく傾向があるように思われます。私は堪え性のないタイプなので結構好きな書き方でした(笑)

 

因みに、ネタバレになってしまうかもしれませんが、この「中村青司」と「島田潔」、これに続く「館シリーズ」でなかなか重要な位置を占めてきます。

と、ここまで書いてきましたが、万年金欠の私はまだ館シリーズを読み切っておらず....。早く読み切りたいと思います。

 

如何でしたでしょうか。

人に口伝えでお勧めすることはあっても、こうやってちゃんと文章のしたのは初めてで、とても難しかったです。

ご指摘があれば遠慮なくコメントお願いします。

ここまで私の拙文を読んで下さってありがとうございました。